子育て世帯の教育資金の貯め方
私は妻と子を持つサラリーマンです。昨年、結婚して子供が産まれたことをきっかけに、学資保険の検討をしました。
我が家の結論
当初は、教育資金を貯めるために学資保険へ加入する予定でした。しかし検討の結果、学資保険には入らないことにしました。
というのも、低金利政策の影響から2018年時点で学資保険の返戻率が105%と非常に低く、ただ貯金をした場合と比べて大したメリットが見込めなかったためです。
学資保険のメリットとデメリット
学資保険には主に以下のメリットとデメリットがあります。
メリット:返戻率が100%を超えるため、ただ貯蓄をするよりもお金が増えて戻ってくる。
デメリット:満期(子供が19歳)になる前に解約した場合、元本割れする場合がある。
例えば、1000万円を大学のための教育資金として備えたいとします。
貯蓄の場合、
1000万円÷19年÷12ヶ月=4.4万円を毎月積み立てることになります。
ここで、もし返戻率が185%の場合、
1000万円÷1.85÷19年÷12ヶ月=2.4万円の保険料を毎月支払うことで達成できます。
実際の返戻率は105%なので、
1000万円÷1.05÷19年÷12ヶ月=4.2万円の保険料を毎月支払う必要があります。
これでは、貯蓄の毎月積立額と大差ありません。
これでは、途中解約による元本割れリスクのデメリットに対して、メリットが見合わないと感じてしまいます。
全ての貯蓄型保険は入ると損をする? - 子育て世帯のパパが社会を生きる
某保険会社のホームページには、学資保険は無理なく続けられる金額で契約することが大切だと書いてあります。
これは、学資保険が途中解約によって元本割れをしてしまうので、満期まで続けられない場合に損をするためです。
しかし、無理なく続けるということは毎月の保険料(積立額)を減らすということです。当然その分満期で受け取れるお金も少なくなります。
例えば毎月1万円の保険料で契約した場合、
1万円×12ヶ月×19年×1.05=239万円が満期で受け取れます。
この239万円で、大学進学のためのお金がまかなえるでしょうか?
大学進学に必要なお金
子供の大学進学に必要なお金には主に以下の3つがあります。
1. 入学金
2. 毎年の学費
3. 子供の大学時代の生活費
その他教科書代や必携PC、白衣等必要なお金がありますが、条件によって大きく変わるため、ここでは除外します。
例えば、子供が遠方の国立大学に合格したとします。
入学金28.2万円+授業料53.6万円×4年間+生活費(下宿代6万円+食費等4万円)×12ヶ月×4年間=722.6万円が大学学部の4年間でかかる計算になります。
さらに大学院への進学や、公立私立大学へ入学した場合、都心等家賃相場の高い地域の大学へ進学した場合には、さらに必要なお金がかさみます。
無理なく貯めた学資保険の239万円では、全く足りていないことが分かります。
保険屋の提案
そこで、保険屋が提案してきたのが、米ドル建ての貯蓄型保険です。これを利用することで、返戻率120%程度が見込めるとのことでした。
先ほどと同様1000万円を貯める場合を考えると、
1000万円÷1.2÷19年÷12ヶ月=3.7万円を毎月積み立てれば済むことになります。
しかしドル建ての保険には、円建てには無い為替リスクが存在します。
ドル建ての保険は、その名の通り支払った保険料をドルに両替して、満期まではドルで保持されています。そのため、満期解約時には再度ドルから円に両替をする必要があります。ここで、為替リスクが発生します。
例えば、保険料払込期間の平均為替レートが1ドル120円だったとします。
3.7万×12ヶ月×19年=843.6万円を保険料として支払った場合、843.6万円÷120円/ドル=7.03万ドルが満期までの運用資金としてドルで保持されています。
返戻率を掛けると、7.03万ドル×1.2=8.436万ドルまで運用の結果増えていることになります。
ここで、満期時の為替レートによって、実際に円として受け取れる金額が以下のように変わってきます。
満期時の為替レートが120円/ドル:
8.436万ドル×120円/ドル=1012.3万円
→1012.3万円-843.6万円=168.7万円増えた
満期時の為替レートが100円/ドル:
8.436万ドル×100円/ドル=843.6万円
→843.6万円-843.6万円=0万円 全く増えなかった
満期時の為替レートが80円/ドル:
843.6万円×80円/ドル=674.9万円
→674.9万円-843.6万円=-168.7万円減った
上述の通り、満期時の為替レートによって、大学進学資金が足りなくなる場合があります。
そのため教育資金のように、お金が必要な時期と金額が明確に決まっている用途に対して、資産をドル建てで運用し続けるべきではないと考えました。
為替レートが良ければ儲かるが、悪ければ損をするというのは、大切な教育資金の積立に対してギャンブル的すぎるかなと思います。
それでどうしたか?
そこで我が家では、学資保険による教育資金の準備を諦めました。
世の中には貯蓄型保険以外に、主に次のような金融商品があります。
1. 株(米国株で年利6%程度)
2. 債権(年利3%程度?)
3. 預金(年利0.001%程度)
この中で、株式や債権は米国のものを買う必要があります。なぜなら、日本の株や債権はチャートの動きが複雑で、私のような素人では全く太刀打ちができないからです。その点、米国株は過去200年間に渡り順調に上がり続けているので、ただ保持しておくだけで20年後には年利換算で6%のリターンが見込めます。
そのため株や債権もドル建てで持つことになります。
…ということは当然、為替リスクが発生します。
そこで私は、株や債権による教育資金の準備も、貯蓄型保険と同様に諦めることにしました。
残るは預金です。
我が家では、教育資金をただの貯金で貯めることにしました。
積立の一工夫
ただし、一工夫を入れる余地がまだあります。
これまでは19歳までに1000万円を用意するための検討をしてきました。しかし実際は19歳になった途端に1000万円全額が必要になるわけではありません。入学時には、入学金の28.2万円が準備できていれば問題ないはずです。
言い換えると、大学と大学院の7年間を通して最終的に1000万円が支出できるように積み立てれば良いということです。つまり、積み立て期間が19年間から26年間に伸びます。
また、児童手当を全額貯蓄に回すと200万円となるため、自前で積み立てる金額は800万円で済みます。
これらを考慮して再度計算すると、
800万÷26年÷12ヶ月=2.56万円を子供1人あたり毎月積み立てれば問題がないはずです。
これなら、なんとかなりそうです。
我が家では、余裕を持って子供1人あたり毎月3万円を積み立てるという方針に落ち着きました。
以上が、我が家の子育て世帯における教育資金戦略です。