保険は何のために入るの?
私たちが保険に入るとき、
何かしらの不安を解消したいと思って入りますよね。
しかし残念ながら、保険に入っておけば全てが安心だ、とはいかないようです。
子育て世帯のパパである私が調べて考えた結果をお伝えします。
そもそも保険とは?
保険の目的は、起こることが非常にまれだが、一旦起こると1人では対応が困難な事に対して備えることです。
そのために皆でお金を出し合って、そのまれな事象が発生してしまった人が、出し合ったお金を総取りすることで困難に対応する。
その仕組みが保険です。
リスクの分類と対応
生きていく中での不安には、保険で解決できるものと、そうでないものがあります。
人生で起こりうるリスクを、縦軸に起こりやすさ、横軸に金額を取ってマトリクス形式で表1に示します。
表1 リスクの分類
各マスに対しての有効な対処法を表2に示します。
表2 リスクへの対処
このように、保険で対応できるのは全体の中の一部のリスクだけです。
それぞれのリスクに対して、取りうる中で一番効果の高い方法で対処するべきかなと思います。
今回はここまで。
これ以降には、具体的なリスクの例を挙げておきます。
保険で解決できること
起こることが非常にまれだが、一旦起こると1人では対応が困難なことです。
例えば以下。
- 若いうちの死亡
→若い間の死亡率は低いが、実際に死亡すると、その後の生涯で稼ぐはずだった賃金が失われる。すると、残された家族が生活に困る。生命保険
- 自動車事故による傷害や損害
→事故を起こす確率は低いが、賠償額は最大で億が想定される。自動車保険。
- 自転車事故による傷害や損害
- レジャーによる傷害や損害
→各種損害保険
- 火災
→実際に火事になる確率は低いが、一旦火事が起こると、財産を失うだけでなく、近隣への多額の賠償が発生する場合がある。火災保険。
保険での解決が難しいこと
起こる確率が高く、金額の大きなものです。
例えば以下。
- 教育資金
→子供が産まれると必ず必要になる。
- 老後資金
→定年を迎えると、必ず必要になる。本来は国によって保障されていたはずだが、最近は国ですら対処し切れていない。老齢年金。
保険で解決する必要のないこと
必要となるお金が少ないものと、国によって保十分障されるものです。
- 老齢の死亡
→必ず起こるが、定年後は仕事による収入が減るので、死亡による損失が少ない。
- 病気やケガの治療
→国によって保障される。治療費は月に最大で9万円程度以内に抑えられる。健康保険
-
療養中の生活
→国によって保障される。月給の2/3が支給される。傷病手当。
- 失業
→国によって保障される。月給の2/3か支給される。失業保険。
- 障害
→国によって保障される。障害年金。
全ての貯蓄型保険は入ると損をする?
あなたは将来に備えてお金を貯めるとき、どのように貯めていきますか?
個人年金に入ろうかな?学資保険がいいかな?特殊養老保険がいいんじゃないか?いやいや終身保険に入ろうよ。
これらの貯蓄型保険は全て、入ると必ず損をしてしまいます。
子育て世帯のパパである私が調べて考えた結果をお伝えします。
なぜ損をするの?
大きな理由は以下の2点です。
- 積立額の1/4を保険会社にプレゼントしている。
- 解約返戻金には税金がかかる。
1.積立額の1/4を保険会社にプレゼントしている。
利率3%の貯蓄型保険に加入して30年間まじめに毎月2万円を払い続け、ようやく満期になりました。元本の120%である864万円の解約返戻金が戻ってきて、大満足です。(図1)
図1 元本と返戻金
本当にそうでしょうか?
本来、利率3%で毎月2万円を積み立てた場合、元本2×12×30=720万円に対して、162%の1161.8万円に増えて返ってくるはずです。(図2)
図2 3%運用
なぜ解約返戻金は300万円少ないのでしょうか?
ここで、図3にさらに1.5万円貯金を追加で図示してみます。元本と3%運用の関係と、1.5万円貯金と返戻金の関係は何だか似ています。
図3 1.5万円貯金を追記
どうやら、保険会社は積立金の2万円から、5千円を抜き取って、1.5万円で運用しているように見えます。
では、抜き取られた5千円はどこに行くのでしょうか?
貯蓄型保険には貯蓄以外の機能として、生命保険やその他付帯サービスが付いています。
ここに利用されるようです。
本来は2万円の積立をしたいにも関わらず、無理やり必要のない生命保険に5千円で加入させられているのです。
2.解約返戻金には税金がかかる。
解約返戻金を受け取ると、所得税と住民税が課されます。
年収500万円の人が1000万円を一括で受け取ると、その年の年収は1500万円と判断されます。所得税は累進課税なので、所得が増えると税率が高くなります。
年収500万円の方は所得税と住民税を合わせても40万円程度ですが、
年収が1500万円になると、所得税と住民税合わせて320万円程度です。
約280万円だけ税金が増えます。
この保険では、返戻金864万-元本720万=144万円の儲けがありますが、増えたお金より、税金で引かれるお金の方が大きいですね。
これでは何も考えずに貯金をした方がお得です。
結局貯金しかないのか?
私は、NISAやideco(or 確定拠出年金)等を使って、自分で運用することで上述の問題を解決することにしました。
今回はここまで
子育て世帯の教育資金の貯め方
私は妻と子を持つサラリーマンです。昨年、結婚して子供が産まれたことをきっかけに、学資保険の検討をしました。
我が家の結論
当初は、教育資金を貯めるために学資保険へ加入する予定でした。しかし検討の結果、学資保険には入らないことにしました。
というのも、低金利政策の影響から2018年時点で学資保険の返戻率が105%と非常に低く、ただ貯金をした場合と比べて大したメリットが見込めなかったためです。
学資保険のメリットとデメリット
学資保険には主に以下のメリットとデメリットがあります。
メリット:返戻率が100%を超えるため、ただ貯蓄をするよりもお金が増えて戻ってくる。
デメリット:満期(子供が19歳)になる前に解約した場合、元本割れする場合がある。
例えば、1000万円を大学のための教育資金として備えたいとします。
貯蓄の場合、
1000万円÷19年÷12ヶ月=4.4万円を毎月積み立てることになります。
ここで、もし返戻率が185%の場合、
1000万円÷1.85÷19年÷12ヶ月=2.4万円の保険料を毎月支払うことで達成できます。
実際の返戻率は105%なので、
1000万円÷1.05÷19年÷12ヶ月=4.2万円の保険料を毎月支払う必要があります。
これでは、貯蓄の毎月積立額と大差ありません。
これでは、途中解約による元本割れリスクのデメリットに対して、メリットが見合わないと感じてしまいます。
全ての貯蓄型保険は入ると損をする? - 子育て世帯のパパが社会を生きる
某保険会社のホームページには、学資保険は無理なく続けられる金額で契約することが大切だと書いてあります。
これは、学資保険が途中解約によって元本割れをしてしまうので、満期まで続けられない場合に損をするためです。
しかし、無理なく続けるということは毎月の保険料(積立額)を減らすということです。当然その分満期で受け取れるお金も少なくなります。
例えば毎月1万円の保険料で契約した場合、
1万円×12ヶ月×19年×1.05=239万円が満期で受け取れます。
この239万円で、大学進学のためのお金がまかなえるでしょうか?
大学進学に必要なお金
子供の大学進学に必要なお金には主に以下の3つがあります。
1. 入学金
2. 毎年の学費
3. 子供の大学時代の生活費
その他教科書代や必携PC、白衣等必要なお金がありますが、条件によって大きく変わるため、ここでは除外します。
例えば、子供が遠方の国立大学に合格したとします。
入学金28.2万円+授業料53.6万円×4年間+生活費(下宿代6万円+食費等4万円)×12ヶ月×4年間=722.6万円が大学学部の4年間でかかる計算になります。
さらに大学院への進学や、公立私立大学へ入学した場合、都心等家賃相場の高い地域の大学へ進学した場合には、さらに必要なお金がかさみます。
無理なく貯めた学資保険の239万円では、全く足りていないことが分かります。
保険屋の提案
そこで、保険屋が提案してきたのが、米ドル建ての貯蓄型保険です。これを利用することで、返戻率120%程度が見込めるとのことでした。
先ほどと同様1000万円を貯める場合を考えると、
1000万円÷1.2÷19年÷12ヶ月=3.7万円を毎月積み立てれば済むことになります。
しかしドル建ての保険には、円建てには無い為替リスクが存在します。
ドル建ての保険は、その名の通り支払った保険料をドルに両替して、満期まではドルで保持されています。そのため、満期解約時には再度ドルから円に両替をする必要があります。ここで、為替リスクが発生します。
例えば、保険料払込期間の平均為替レートが1ドル120円だったとします。
3.7万×12ヶ月×19年=843.6万円を保険料として支払った場合、843.6万円÷120円/ドル=7.03万ドルが満期までの運用資金としてドルで保持されています。
返戻率を掛けると、7.03万ドル×1.2=8.436万ドルまで運用の結果増えていることになります。
ここで、満期時の為替レートによって、実際に円として受け取れる金額が以下のように変わってきます。
満期時の為替レートが120円/ドル:
8.436万ドル×120円/ドル=1012.3万円
→1012.3万円-843.6万円=168.7万円増えた
満期時の為替レートが100円/ドル:
8.436万ドル×100円/ドル=843.6万円
→843.6万円-843.6万円=0万円 全く増えなかった
満期時の為替レートが80円/ドル:
843.6万円×80円/ドル=674.9万円
→674.9万円-843.6万円=-168.7万円減った
上述の通り、満期時の為替レートによって、大学進学資金が足りなくなる場合があります。
そのため教育資金のように、お金が必要な時期と金額が明確に決まっている用途に対して、資産をドル建てで運用し続けるべきではないと考えました。
為替レートが良ければ儲かるが、悪ければ損をするというのは、大切な教育資金の積立に対してギャンブル的すぎるかなと思います。
それでどうしたか?
そこで我が家では、学資保険による教育資金の準備を諦めました。
世の中には貯蓄型保険以外に、主に次のような金融商品があります。
1. 株(米国株で年利6%程度)
2. 債権(年利3%程度?)
3. 預金(年利0.001%程度)
この中で、株式や債権は米国のものを買う必要があります。なぜなら、日本の株や債権はチャートの動きが複雑で、私のような素人では全く太刀打ちができないからです。その点、米国株は過去200年間に渡り順調に上がり続けているので、ただ保持しておくだけで20年後には年利換算で6%のリターンが見込めます。
そのため株や債権もドル建てで持つことになります。
…ということは当然、為替リスクが発生します。
そこで私は、株や債権による教育資金の準備も、貯蓄型保険と同様に諦めることにしました。
残るは預金です。
我が家では、教育資金をただの貯金で貯めることにしました。
積立の一工夫
ただし、一工夫を入れる余地がまだあります。
これまでは19歳までに1000万円を用意するための検討をしてきました。しかし実際は19歳になった途端に1000万円全額が必要になるわけではありません。入学時には、入学金の28.2万円が準備できていれば問題ないはずです。
言い換えると、大学と大学院の7年間を通して最終的に1000万円が支出できるように積み立てれば良いということです。つまり、積み立て期間が19年間から26年間に伸びます。
また、児童手当を全額貯蓄に回すと200万円となるため、自前で積み立てる金額は800万円で済みます。
これらを考慮して再度計算すると、
800万÷26年÷12ヶ月=2.56万円を子供1人あたり毎月積み立てれば問題がないはずです。
これなら、なんとかなりそうです。
我が家では、余裕を持って子供1人あたり毎月3万円を積み立てるという方針に落ち着きました。
以上が、我が家の子育て世帯における教育資金戦略です。